top of page

 

 

 

粛清部隊

 

その言葉すら、記録からは抹消された。

 


かつて政府には“汚れ仕事”を請け負う部門があった。
 

ノイズ感染の疑い、暴走の兆候、異常な脳波。
 

そういった「未確定の危険因子」を、証拠もなく“処理”する仕事。
 

スミカは、その最前線にいた。誰もが震える仕事を、彼女は無表情で遂行した。
 

 

 

彼女が活躍したのは、セントラル・サージ発生後の現場だった。
 

「やらなければ、もっと多くが死ぬ」。その言葉を何度も自分に呟きながら、人を殺めた。
 

 

 

罪悪感は感情の奥底で腐敗し、今や何も残っていない。
 

ただ、生き残っているという事実だけが、彼女を苛む。
 

“私は殺すことしかできない”。その絶望を抱いたまま、CLiFF EDGE inc.に拾われた。

 

 


守るなどという感情はない。安全管理など、方便だ。


彼女は今も、社内の「異物たち」を見張っている。


問題があれば排除する。誰よりも早く、冷静に、確実に。

それが彼女の唯一の存在価値。

 


 

すでに手は汚れきっており、もはや血の重みにも何も感じない。

だが、それでもただ一つ、彼女は願っている。

 

“誰か他の者が、自分より先に地獄に堕ちないように”。

Author: 三角(ミスミ)

「CLiFF EDGE inc.」に関する最新情報・制作記録はこちらから。

本サイトに記載された企業情報は全てフィクションです。​

三角のオリジナル作品「CLiFF EDGE inc.」の企業ホームページを想定して制作されたものであり、

実在の企業・団体・個人・事件とは一切関係ありません。

​本サイトに掲載されている全ての情報は、当社および依頼主の許可なく複製・転用できません。

©CLiFF EDGE inc. All rights reserved.

​​
 

bottom of page